レブロン流・ロッカールーム文化の作り方

レイカーズだけでなくNBAを代表するスター、レブロン・ジェームスは、自身の実力や地位におごることなく、「受容」と「鼓舞」の精神でレイカーズのロッカールームを盛り上げている。



これまでは、コービーという偉大すぎるレジェンドが、長きにわたってレイカーズのチームの文化を作り上げてきた。そのアプローチ方法は、模範以外の何物でもない。コービー自身が模範を示すことで、チームメイトにもその高い標準を求めてきた。コービーのリーダーシップは卓越しており、尊敬を勝ち取っていた。チームを5度、優勝にも導いた。

しかし一方で、それを息苦しく思うチームメイトがいたことも事実。2012年に、先発PGだったスマッシュ・パーカーは、信頼を勝ち得るほど実績がないとして、コービーがパーカーと話すことを拒んだことに納得ができなかった。そんな時代がレイカーズにはあった。


レブロンは、その文化を解体し、新たな文化を作り上げ始めている。その方法は、お互いを受け入れ、お互いを生かすというものだ。レブロンは謙遜しながら、自身のチームメイトへのアプローチ方法についてこう語る。


“今あるロッカールームの雰囲気は、一人一人のキャラクターが生かされたものなんだ。これこそ、今シーズン私たちが取り組んでいるアプローチ方法だ。私はチームの中でリーダーの一人だが、ただそれを徹底して繰り返す役割を果たしているだけなんだ。ロッカールームで、ウェイトルームで、飛行機の中で、バスの中で、どこででも。『仕事』のように感じることのないよう、ただ居心地の良い環境を作り上げようとしているんだ。私は毎日、チームの中にいることで幸せを感じている。なぜなら、いつも幸せな兄弟たちに囲まれ、時間を共にすることができているからだ。”


ダニー・グリーンはしばしば踊り、「緊張感がない」と揶揄されることもあったドワイト・ハワードの笑顔はチームに活気をもたらす。クイン・クックはレブロンと冗談を言い合う。誰もが一緒にハングアウトでき、誰もが受け入れられる。階層社会の色濃いNBAの中で、非常に希少な存在と言えるだろう。


シーズンが始まる前の夏の間も、ラスベガスで自主的にミニキャンプを開催し、チームメイトと共に貴重な時間を過ごしたレブロン。そこから大きな手応えをつかんでいた。


“素晴らしいランチやディナーの時間を共に過ごした。本格的にシーズンに入っていくために良いきっかけになったように思う。試合の勝ち負けは、なるようにしかならないという面があり、何が起こるかわからないもの。しかし、私たちが共にいることで、お互いに率直に意見を言い合い、組織が強くなっていければ、私たちが勝敗をコントロールできるようになる。”


1月15日のマジック戦、シュートタッチに苦しんだレブロンはアシスト中心に攻め方を切り替え、キャリアハイの19アシストを記録した。その恩恵を受け、控えのクックとトロイ・ダニエルズはそれぞれ22得点、17得点と活躍した。「レブロンは日々、私に自信を与えてくれる。レブロンは私を信頼し、求めてくれる。本当に大きすぎる存在だ」とクックは称賛する。

フランク・ボーゲルHCいわく、「コーチ主導のチームは長くは続かないが、プレイヤー主導のチームは特別になりうる可能性を秘める」という。セルティックスとの伝統の一戦では悔しい敗北を喫したが、シーズンはまだまだ長い。今後のレイカーズのケミストリーのさらなる向上にも注目したい。

コメント