NBAファイナル4で最もお金の使い方が上手なのは? サラリーキャップ格付けチェック 〜Vol.1 ロサンゼルス・レイカーズ〜
イースタン、ウエスタンともにカンファレンスファイナルに突入したNBAプレイオフ。プレイオフに入り、若手ながらチームを支える大活躍を見せる選手もいれば、ベテランにもかかわらず足かせとなってしまっている選手も。そんな選手一人ひとりは、もちろんサラリーに違いがあり、改めて見てみると「この選手がこれだけしかもらっていないの?」「この選手がこんなにもらっているの?」と驚くことが多い。
そこで今回から4回にわたって、各ファイナルのファイナル出場チーム、計4チームのサラリーキャップの振り分け方を見ながら、格付けチェックをしていきたい。試合だけではない、NBAの新たな楽しみ方に気づけるかもしれない。第1回の今回は、優勝の大本命、ロサンゼルス・レイカーズを取り上げたい。
■ウエスタンカンファレンス No.1:ロサンゼルス・レイカーズ(第1シード)
1. LeBron James:$37,436,858(30.5%)
2. Anthony Davis:$27,093,019(22.1%)
3. Danny Green:$14,634,146(11.9%)
4. Kentavious Caldwell-Pope:$8,089,282(6.6%)
5. Avery Bradley:$4,767,000(3.9%)
6. JaVale McGee:$4,000,000(3.3%)
7. Quinn Cook:$3,000,000(2.4%)
8. Alex Caruso:$2,750,000(2.2%)
9. Rajon Rondo:$2,564,753(2.1%)
10. Kyle Kuzma:$1,974,600(1.6%)
11. Markieff Morris:$1,750,000(1.4%)
12. Jared Dudley:$1,620,564(1.3%)
13. Dwight Howard:$1,620,564(1.3%)
14. Talen Horton-Tucker:$898,310(0.7%)
15. Dion Waiters:$375,385(0.3%)
(16. JR Smith:$289,803(-))
Others:$14,916,026
Luol Deng:$5,000,000(4.1%)
DeMarcus Cousins:$3,500,000(2.9%)
Troy Daniels:$2,028,594(1,3%)
Total:$122,723,507
Luxury Tax:$9,903,493
■誰もが納得のレブロン・デイビスのトップ2入り
オールNBAファーストチーム入りをそろって果たしたレブロン・デイビスの最強コンビがレイカーズのサラリーのトップ2となり、2人だけで全体の半分を超える。レブロンは全体の30%を占める約3,700万ドルを稼ぐ。16年連続オールNBAチーム入りはだてじゃない。今季のMVP最終候補であり、アシスト王でもあるレブロンについては、誰も異論はないだろう。デイビスについては、DPOYは惜しくもヤニスに譲ったものの投票では2位。レブロンと双璧をなすチームの得点頭には、約2,700万ドルはむしろ少し安いくらいかもしれない。
少し意外なのは、No.3・No.4にグリーンとKCPが名を連ねていること。グリーンについては、スパーズ・ラプターズでの優勝経験があり、約1,500万ドルという金額に見合っている気もするが、KCPの約800万ドルにはやや払い過ぎている感もある。シーズン再開から家庭の事情により欠場しているブラッドリーの分まで、特に守備での貢献が期待される。
■ベンチ陣はそろって薄給だが、存在感は大きい
カルーソやロンド、クズマにモリスなど、優秀なベンチ陣はこぞって300万ドルに満たないものの、ゲームへの貢献度は高い。ロンドはさすが経験豊富なベテランという老獪なゲームさばきでロケッツとのセカンドラウンドで輝きを放った。クズマも起爆剤として安定した活躍を見せている。カルーソに至っては、レブロンとの相性が非常によく、アリウープでファンを魅了する。また勝負所での値千金のスティールやスリーポイントが際立っている。
驚きなのはドワイト・ハワード。約160万ドルと、2ウェイ契約のTHTのすぐ上という破格の金額。もともと、今季の開幕前まで、選手としての価値がジャーニーマンから引退の危機というところまで下がっていたところを、ミニマムでレイカーズが拾った形だったのは確か。それでも、レイカーズに復帰して以来、献身的なリバウンドやベンチのムードメーカーとして影響力は大きく、コート上でのインサイドのハッスルは全盛期を彷彿とさせることもある。
シーズン中断前に滑り込みでレイカーズに加入したウェイターズはミニマム契約。時折コートに出てきては、短い時間で得点を稼ぐスポットスコアラーの役割を果たしている。JRについては、COVID-19に伴う特別ルールで、サラリーキャップに計上されない形でロスターに加わっている。今のところ目立った活躍はできていないが、今後もしかしたら持ち前の爆発力でチームを救う機会が訪れるかもしれない。THTは、ロケッツとのゲーム3で突然出場時間を得たと思ったらしっかりとインパクトを残し、ファンを興奮させてくれた。これからも、ボーゲルHCが若さを求めて要所で起用されるチャンスが巡ってくるかもしれない。2ウェイ契約で100万ドルにも満たず、「超」がつくくらいコスパが良い存在だ。
■もったいないロスター外のサラリー
たいていどのチームにも、バイアウトにより、プレイすることなくサラリーのみを受け取る「金食い虫」のような選手がいるもの。レイカーズの場合、主に2人の選手がその大部分を占める。デンは引退状態にもかかわらず、来々季まで約500万ドルを受け取ることになっている。もう一人は、今季加入したカズンズだ。開幕前、非常によく体を絞れていたのに、開幕直前に足のケガを負い、無念の戦線離脱。もしカズンズが健康を維持できていたら、ハワードでも十分すぎるほど強力だが、AD・マギー・カズンズというまさに「最恐」インサイド陣が結成できていたのだから、残念感は大きい。
面白いのはトロイ・ダニエルズ。シーズン中断前、泣く泣くカットされる憂き目にあったが、ナゲッツに拾われた。まさか、カンファレンスファイナルで対戦することになるとは。ダニエルズはほとんど試合に絡めていないものの、直近の古巣を相手にするのは、さぞ複雑な心境だろう。
■総評
レブロンやADなど、チームの核にしっかりと払うべきお金を払えているレイカーズ。重要なサブメンバーたちは比較的サラリーが低く抑えられており、費用対効果が非常に高いと言える。一方で、払い過ぎている選手、ロスター外の選手も一定数おり、ラグジュアリータックスもそれなりに高い。名門チームだからこそ回っているという部分もあるだろう。ただ、それも含めてレイカーズの良さなのかもしれない。亡きコービーのためにも、今季こそ「優勝」という最重要課題を達成するべく、お金を惜しまないだけの価値があるだろう。
参照:「Los Angeles Lakers 2019-20 Salary Cap」(Spotrac)
重箱の隅をつつくような事を言って申し訳ないのですが、もしカズンズが怪我をしていなかったらハワードは契約しなかったと思うんですが。
返信削除ご指摘、ありがとうございます!確かにおっしゃる通り、カズンズの負傷によってハワードに白羽の矢が立ったのでしたね。修正いたしました!
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