超大型ルーキー・Zion WilliamsonがついにNBAの舞台に降臨

NBAファンが待ちに待った、2019年1巡目1位指名の令和の大怪物・Zion Williamsonが、現地時間1月22日の対Spurs戦で華々しいNBAデビューを飾った。




右膝半月板の損傷の手術で出遅れ、開幕から44試合を欠場したZion。Summer League中に右膝を故障し、母校・Duke大の恩師であるコーチKからも、明らかに調整不足だったことについて「プレーできるシェイプにあるとは思えない。メンタル面でも同じことが言える」と指摘された。結果として、開幕からシーズンのほぼ半分を棒に振ることになった。


「壁に向かってパンチしたい」「椅子を蹴飛ばしたい」と何度も思うほど、復帰までの長いリハビリのプロセスの中で相当なフラストレーションがたまっていたというZion。それを乗り越え、ついにデビューに至った。試合は、まさに「ドラ1」にふさわしいデビュー戦となった。

Pelicansは、Tip OffからZionのためにセットを用意しデビューをお膳立てするも、ここは百戦錬磨のSpursに阻まれた。その後は正直、3Qまでは苦労する場面も多々見受けられた。Jaxson Hayesとのポジション被りで動きが停滞したり、Drew HolidayとP&Rを試みるもスクリーンがうまく掛からなかったり。ハンドリングにも少々難があり、そこからのターンオーバーも散見された。

しかし4Q、10年に1人の逸材がついに覚醒する。1本目の3PTS(Zionは3PTSを放つ際にほぼジャンプしない!)を沈めると、アリウープに2本目の3PTSと立て続けに得点を重ね、会場が大いに沸いた。その後も、インサイドでJakob Poeltlにブロックされるも体格に似合わない俊敏性ですぐさまボールを取り戻し、強引にシュートをねじ込むと、解説の佐々木クリス氏に褒め言葉として「ネコ科の猛獣のよう」と表現された。

結局、4Qだけで4本の3PTSを沈めたZion。ルーキーがデビュー戦でミスなしで決めた3PTS成功数の歴代最多記録を更新した。そもそも、大学時代の3PTS成功率は33.8%で飛び抜けて優秀というわけではないが、良い意味で期待を裏切る勝負強さを見せつけるあたり、やはり大物は違うなと思わされた。




Zionは、4Qだけで連続17得点を奪取し、試合を通して18分のみの出場で22得点を記録。十分すぎる活躍だった。Zionの22得点は、Pelicans史上ルーキーがデビュー戦で記録した得点で歴代最多という。Zionの前に歴代最多だったのは、奇しくも今夏にPelicansからLakersに移籍したAnthony Davisの21得点だった。




そんな鮮烈なデビュー戦となったZionだったが、ベテランのJJ Redickからは試合中、落ち着け。お前がすべきことは、ただバスケットボールをプレイすることだ。ヒーローになる必要はない」と声を掛けられた。実はZion、4歳の頃から夢見ていたNBAのデビューに当たり、かなり舞い上がっていたらしい。頼れるベテランの一声で冷静になれたという。

試合自体は、試合巧者のSpursに逃げ切られ惜敗。4Q終盤の競った局面、復帰明けの出場時間の制限のためベンチに下がったZionは、指揮官のAlvin Gentryに「ベンチに下げないでほしい。この試合、どうしても勝ちたいんだ!」と直談判したという。それに対してGentryは「君をコートに残すという選択肢が私にはない。確かに君をコートに残すことはできるが、そうすれば次の朝にはHCが別の人になっているよ」と諫めたらしい。いやはや、若さって素晴らしい。



Pelicansは、現在西8位のSpursとは4ゲーム差。まだまだ巻き返しの余地は大いにある。Zionの戦列復帰を受け、一気に躍進する可能性も大いにあると実感できた試合だった。ちなみに、Zionが記念すべきデビュー戦で着用したバッシュは、「AIR JORDAN 34」の特別モデル「Bayou Boys」。「Bayou(バイユウ)」とは、New Orleansのあるルイジアナ州や隣接するミシシッピ州にある、小さな沼地や湿地帯を指す。New Orleansの街への強い思いを込めて名付けられたという。


 

New Orleansの街からの期待を一身に背負い、西12位に低迷するPelicansをプレイオフまで引き上げられるか。これからも令和の大怪物の動向に注目していきたい。






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