Adam SilverとChris Paulの強い信頼関係

NBAのコミッショナーであるAdam SilverとNBA選手会の会長であるChrs Paulは、われわれファンが思っている以上に強い信頼関係があり、今のNBAの成功を支えている。


Kobe Bryantがヘリコプターの墜落事故で逝去した1月26日、NBAでは8試合が予定されていた。Adam Silverはその日、試合を予定通り開催すべきかどうかについて、選手会の会長であると同時にKobeの親友の一人だったChris Paulに助言を求めていたという。


“私たちは同じ思いだ。こんな時にこそ、人々は共に集まり、共に寄り添うことを望むだろう、と。”


SilverとPaulという2人のトップの話し合いの結果、1月28日に予定されていたLakersとClippersのLAダービーのみ延期となったが、その他の試合はすべて予定通り行われた。Kobeの死を悼みつつ、プロとしてファンを楽しませ続けることこそ今のNBAができることとして、NBAは走り続けた。24秒バイオレーション、8秒バイオレーションによるKobeへのトリビュートなどによって、ファンと共にKobeへの愛を示すことができ、ファンとのつながりもより深まったのではないかと思う。



Kobeの死という特別な状況だったからSilverがPaulの声に耳を傾けたわけではない。先日のNBAオールスター2020の新フォーマットをSilverに提案したのも、実はPaulだった。


“昨年の夏、Paulから電話をもらった。彼はこう切り出した。「私は『The Basketball Tournament』が大好きなのですが、『イラム・エンディング』についてご存じでしょうか?」私は、「何回か見ているよ。確かに、私の目には魅力的に映るが、一部の人には混乱を招いてしまうかもしれない」と伝えた。しかしPaulは食い下がり、「素晴らしいとは思いませんか? われわれは、オールスターのフォーマットをイラム・エンディングに変更すべきだとは思いませんか?」 私はこう返した。「もし君が本気なら、理事たちに意見を聞いてみるといい。その後で、リーグに掛け合おう」。理事との相談の後で彼から私に返ってきた答えは、「興味深い。ぜひ試してみるべきだ」というものだった。”

「イラム・エンディング」は、試合の終盤に時間ではなく得点によって勝敗を決する方式。今回のオールスターの「ターゲットスコア」の仕様の元となった。こうして、Paulの助言から今回のオールスターは大成功を収めることになった。Paul自身も、3PTS7本を含む23得点の大活躍。さすがのゲームコントロールと終盤の競った状況でのリーダーシップを発揮したり、珍しくアリウープでダンクを決めたりするなど、生き生きとしていた。


正直、ロックアウトの時の折衝役としてくらいしかイメージのなかった選手会。オールスターのフォーマットを変えてしまうこともできるなんて想像もしなかった。実は、Paulにとって今回のオールスター選出は4年ぶり(10回目)。ある意味、天から見放されたようなトレードでOKCに移籍し、年齢も34歳とこれからのキャリアは下降の一途を辿っていってしまうのかと思っていた。そんな苦しい状態のなかでも、NBAがより進化し、ファンをもっと楽しませられるようにと、常に考え、動き続けていた賜物が今回のフォーマットの刷新につながったように思う。そんなPaulの真摯な姿勢を高く評価し、信頼を寄せていたからこそ、Silverも大胆な決断に至れたのだろう。

NBAの命運を握ると言っても過言ではないSilverとPaulの2人。これからもその強い信頼関係のもと、共にNBAを牽引し、革命を起こし続けていってほしい。


<参照記事>
Thunder: Adam Silver consulted Chris Paul on day of Kobe Bryant's death
Commissioner Adam Silver reportedly consulted with Chris Paul after Kobe's death

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