球宴選出の摩訶不思議

NBAオールスター2020のリザーブ14人が正式に発表された。初出場選手が9人と、新時代への突入を強く感じさせるが、個人的には正直、選出方法に疑問を感じざるを得なかった。


今回は、未選出だった有力選手と、選出の要因となったであろうポイントからこの疑問について分析したい。


■実力も実績も十分だったが落選の憂き目にあったBealとBooker

私が感じる疑問は、初出場選手の人選ではなく、有力候補だった選手の未選出についてだ。以下、オールスター出場が濃厚だったにもかかわらず落選した2選手だ。

・Bradley Beal(Washinton Wizards)



“腹立たしい。正直、敬意を感じない。しかし、わかる人にわかってもらえればいい。必ずチームをプレイオフに導くよ。”

未選出について、不満げな表情と強い言葉で怒りをあらわにしたBeal。それもそのはず、得点ランキング6位の平均28.7点を記録し、アシストも平均6.4と優秀(2月1日現在)。ケガ人続出で苦境にあえぐチームで大車輪の活躍を見せていた。1月29日の東1位・Bucksとの試合でも47点を奪い、51点を取ったKris Middletonとの点取り合戦を演じ、リーグ屈指のスコアラーであることを証明していた。


・Devin Booker(Phoenix Suns)



Bealと同様、リーグでも有数のスコアラーとして鳴らすBooker。得点ランキングは8位の27.1点、アシストも平均6.4と、ガードとして存在感は抜群。30点超えは20試合を数えていた(2月1日現在)。あまりに納得できない不満から、SunsのGM・James Jonesは異例の発表を出した。


“私はこれまで、オールスターに選出された多くの選手とプレイしてきたからわかる。Devin Bookerは間違いなくオールスターで、それにまったくの疑いの余地はない。”

彼らの不満も無理はない。過去35年をさかのぼると、平均27点以上を記録した選手でオールスター未選出だった選手は存在しない。35年の長い歴史が破られ、しかもそれが2人同時だなんて、選出方法に疑問を抱かざるを得ないのはこの事実があるからだ。



■選出の要因となったであろうポイントは「チーム成績」と「インパクト」

選出された選手の勝敗数と順位は以下。

<East>
 Bam Adebayo:32-15(4位)
 Jimmy Butler:32-15(4位)
 Kyle Lowry:34-12(2位)
 Khris Middleton:41-6(1位)
 Domantas Sabonis:31-17(5位)
 Ben Simmons:31-18(6位)
 Jayson Tatum:32-15(3位)
  ⇅
 Bradley Beal:16−31(11位)

<WEST>
 Rudy Gobert:32-14(4位)
 Brandon Ingram:19-29(12位)
 Nikola Jokic:33-15(2位)
 Damian Lillard:21-27(10位)
 Donovan Mitchell:32-14(4位)
 Chris Paul:29-20(7位)
 Russell Westbrook:29-18(6位)
  ⇅
 Devin Booker:20-27(11位)

東は明らかにチーム成績至上主義。Bealは選出された選手たちに比べるとはるかに劣っている。リザーブは、好調のチームの中でエース級の選手が選出されているといっても差し支えないだろう。しかし、西はどうだろうか。LillardやIngramはBookerと大して変わらず、Bookerと同様チームは低迷しているのだ。

おそらく、Lillardは1月21日のキャリアハイの61点、Ingramも1月17日のキャリアハイの49点が記憶に新しく、「インパクト」の面で負けたのだろう。Bookerが今シーズンの最多得点の44点を奪ったのは12月5日で、忘れられたといっても不思議ではない。

その他、Spursの選手が一人も選ばれなかったのもこのポイントを考慮すると理解できる。Spursは現在21-26で西9位。リーグ発表の公式な記録ではないが、Shams Charania氏によると、Spursは1976年からの43回のオールスターの歴史の中で、選手が選出されなかったのはたった3回で、今回の未選出は1997年以来、実に23年ぶりとなる。いやはや、Spurs王朝、恐るべし。Duncanはやっぱり偉大すぎたという証拠だ。


今年の本戦は急逝したKobe Bryantに対するトリビュートによる特別フォーマットの開催となり、さらなる注目が集まるNBAオールスター2020。出場が決まった選手たちは、無念の落選となった有力候補たちの分まで、大いに楽しみながらファンを楽しませてほしい。


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