「ようこそNBAへ」の悲喜こもごも
NBA入りを果たす選手は誰しも、必ず覚えているNBAデビューの瞬間がある。誰もが「ルーキー」として経験する1年目、先輩選手から「トラッシュトーク」を仕掛けられるほろ苦い歓迎を受けることもしばしば。今回は、何人かの選手をピックアップし、NBAデビューの悲喜こもごもを追ってみた。
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■Terrence Davis(Toronto Raptors)の場合
2019年のドラフトで指名されなかったTerrence Davisは、Denver Nuggetsからサマーリーグでプレイするよう招かれた。デビュー戦で5本の3PTSを沈め、22点を奪った。するとエージェントから電話があった。ディフェンディングチャンピオンのRaptorsとの契約の打診だった。
これが彼のNBA選手となる瞬間だった。
数カ月後、Davisは埼玉スーパーアリーナで開催されるHouston Rocketsとのプレシーズンゲームのために日本に来た。そこで彼は、NBAの洗礼を受けることになる。
プレシーズンゲーム1試合目、Russel Westbrookの出来はお世辞にも良いと言えるものではなかった。3PTSは1/6と散々で、ベンチからそれを眺めていたDavisは何かを言いたい衝動に駆られた。
DavisはWestbrookに向かって声を上げた。「バグっちまったな。」
すると、RaptorsベンチにWestbrookが歩いて向かってきた。近くにいたJames Hardenも寄ってきて、Davisに罵詈雑言(ばりぞうごん)を浴びせた。これがDavisにとっての「ようこそNBAへ」だった。
■Meyers Leonard(当時はPortland Trail Blazers)の場合
Leonardは、2012年に20歳でPortland Trail BlazersでNBAデビューした。
開幕戦、BlazersはホームでLakersと対戦した。Leonardはそのデビュー戦で、21分の出場で4点を記録した。しかし、彼のデビュー戦の一番の思い出はそれではなかった。
試合前、Leonardはコートの中央でKobeと言葉を交わした。Leonardは思った、「ちょっと待ってくれ。あのKobe Bryantが今、私の目の前に立っているぞ。私なんか、ただのイリノイの田舎者だぞ。どうやってこうなったんだ?」試合後、Leonardは家族と友人に興奮しながらそれを分かち合ったという。
■Austin Rivers(当時はNew Orleans Hornets)の場合
試合前、Motey Williams HCはホワイトボードにマークマンのアサインを書いた。そして、Riversに告げた。「Austin、お前のマークはKobeだ。」Austinは浮世離れした感覚に襲われたという。「自分がKobeと対峙することになるなんて、にわかに信じられなかった。私がずっと憧れてきた選手をマークする。それが自分にとってのNBAデビューの思い出だ。」
■Kevin Love(当時はMinnesota Timverwolves)の場合
Kevin LoveがNBA入りを果たした2008年、NBAはPF隆盛の時代だった。ある夜はDirk Nowitzkiとプレイしたと思ったら、次の夜にはKevin Garnettとプレイする。そんな刺激的すぎる日々を送っていた。
そんななか、Loveにとって最も印象深いのはTim Duncanだった。デビュー後4試合目で、5回の優勝を誇り、殿堂入り確実な選手とマッチアップすることになったLove。DuncanはLoveのすぐ近くまで来ると、Loveとの1on1で伝家の宝刀であるバンクショットを決めた。
「Duncanは寡黙な男」とLoveは語る。「あなたはいとも簡単にバンクショットを沈める。どうやって止めればいいんだ?」と問い掛けてみると、「そうだな、君にできることはないかな」と答えたという。
■Fred VanVleet(Toront Raptors)の場合
Davisに近い経歴を持つのが、チームメイトで同じくドラフト外選手のFred VanVleetだ。VanVleetは、昨季Raptorsが初優勝を果たす立役者の一人だった。VanVleetはルーキシーズンに受けた手痛い歓迎を今でもよく覚えている。「誰もがベンチでトラッシュトークをしていた。舌なめずりすらしていた感じだよ。」
若い選手にとって、尊敬を勝ち取ること以上に満足できることはないだろう。VanVleetが自身の地位を確立するに当たって、相手チームのベンチの目の前で3PTSを沈めることを強調する。
「決めると、一気に沈黙する。ボールを持つだけで野次がどんどん飛んでくるが、ワイドオープンで3PTSを決めようものなら、皆『くそが』って感じになって黙るんだ。」
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十人十色の洗礼があるNBA。今回ピックアップはあくまでほんの一握りのケースで、選手の数だけデビュー秘話があるだろう。選手一人一人がどんな思い出があるのか思い巡らせるのも楽しいかもしれない。
<参照記事>
Every player remembers their 'welcome to the NBA' moment
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■Terrence Davis(Toronto Raptors)の場合
2019年のドラフトで指名されなかったTerrence Davisは、Denver Nuggetsからサマーリーグでプレイするよう招かれた。デビュー戦で5本の3PTSを沈め、22点を奪った。するとエージェントから電話があった。ディフェンディングチャンピオンのRaptorsとの契約の打診だった。
これが彼のNBA選手となる瞬間だった。
数カ月後、Davisは埼玉スーパーアリーナで開催されるHouston Rocketsとのプレシーズンゲームのために日本に来た。そこで彼は、NBAの洗礼を受けることになる。
プレシーズンゲーム1試合目、Russel Westbrookの出来はお世辞にも良いと言えるものではなかった。3PTSは1/6と散々で、ベンチからそれを眺めていたDavisは何かを言いたい衝動に駆られた。
DavisはWestbrookに向かって声を上げた。「バグっちまったな。」
すると、RaptorsベンチにWestbrookが歩いて向かってきた。近くにいたJames Hardenも寄ってきて、Davisに罵詈雑言(ばりぞうごん)を浴びせた。これがDavisにとっての「ようこそNBAへ」だった。
■Meyers Leonard(当時はPortland Trail Blazers)の場合
Leonardは、2012年に20歳でPortland Trail BlazersでNBAデビューした。
開幕戦、BlazersはホームでLakersと対戦した。Leonardはそのデビュー戦で、21分の出場で4点を記録した。しかし、彼のデビュー戦の一番の思い出はそれではなかった。
試合前、Leonardはコートの中央でKobeと言葉を交わした。Leonardは思った、「ちょっと待ってくれ。あのKobe Bryantが今、私の目の前に立っているぞ。私なんか、ただのイリノイの田舎者だぞ。どうやってこうなったんだ?」試合後、Leonardは家族と友人に興奮しながらそれを分かち合ったという。
A moment I will never forget. This was my first NBA game. 🙏🏼😢 https://t.co/bZepaPVJMt— Meyers Leonard (@MeyersLeonard) January 26, 2020
■Austin Rivers(当時はNew Orleans Hornets)の場合
試合前、Motey Williams HCはホワイトボードにマークマンのアサインを書いた。そして、Riversに告げた。「Austin、お前のマークはKobeだ。」Austinは浮世離れした感覚に襲われたという。「自分がKobeと対峙することになるなんて、にわかに信じられなかった。私がずっと憧れてきた選手をマークする。それが自分にとってのNBAデビューの思い出だ。」
■Kevin Love(当時はMinnesota Timverwolves)の場合
Kevin LoveがNBA入りを果たした2008年、NBAはPF隆盛の時代だった。ある夜はDirk Nowitzkiとプレイしたと思ったら、次の夜にはKevin Garnettとプレイする。そんな刺激的すぎる日々を送っていた。
そんななか、Loveにとって最も印象深いのはTim Duncanだった。デビュー後4試合目で、5回の優勝を誇り、殿堂入り確実な選手とマッチアップすることになったLove。DuncanはLoveのすぐ近くまで来ると、Loveとの1on1で伝家の宝刀であるバンクショットを決めた。
「Duncanは寡黙な男」とLoveは語る。「あなたはいとも簡単にバンクショットを沈める。どうやって止めればいいんだ?」と問い掛けてみると、「そうだな、君にできることはないかな」と答えたという。
■Fred VanVleet(Toront Raptors)の場合
Davisに近い経歴を持つのが、チームメイトで同じくドラフト外選手のFred VanVleetだ。VanVleetは、昨季Raptorsが初優勝を果たす立役者の一人だった。VanVleetはルーキシーズンに受けた手痛い歓迎を今でもよく覚えている。「誰もがベンチでトラッシュトークをしていた。舌なめずりすらしていた感じだよ。」
若い選手にとって、尊敬を勝ち取ること以上に満足できることはないだろう。VanVleetが自身の地位を確立するに当たって、相手チームのベンチの目の前で3PTSを沈めることを強調する。
「決めると、一気に沈黙する。ボールを持つだけで野次がどんどん飛んでくるが、ワイドオープンで3PTSを決めようものなら、皆『くそが』って感じになって黙るんだ。」
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十人十色の洗礼があるNBA。今回ピックアップはあくまでほんの一握りのケースで、選手の数だけデビュー秘話があるだろう。選手一人一人がどんな思い出があるのか思い巡らせるのも楽しいかもしれない。
<参照記事>
Every player remembers their 'welcome to the NBA' moment
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