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 23日、米国ウィスコンシン州ケノーシャで、ジェイコブ・ブレイク氏が警察官により銃撃され重傷を負う事件が発生した。5月に起きたジョージ・フロイド氏の暴行死事件に続き、米国社会で人種差別という根深い問題が再び浮き彫りとなった今回、NBA選手たちは今こそ彼らの心の叫びを届け、世界を変えるべく立ち上がっている。

 26日、NBAでは3試合が予定されていたが、最初の試合となるバックス対マジック戦は、事件の起きたウィスコンシン州を本拠地とするバックスが試合をボイコット。最終的に、この試合を含む同日のプレイオフ全試合がボイコットされた。

 バックスの選手たちは、試合をボイコットした後、以下の共同声明を発表した。

“私たちは過去4カ月間、私たちのアフリカ系アメリカ人のコミュニティーが直面している人種差別の問題に光を当ててきました。全国民が自分自身の声で、議論の場を使って、これらの不正行為に対して声を上げています。”

“私たちのホーム、ウィスコンシン州でここ数日、ジェイコブ・ブレイク氏がケノーシャで警察官に背中を7回撃たれるという恐ろしいビデオを見てきました。そして、抗議者の追加の銃撃。変化を求める圧倒的な嘆願にもかかわらず、何の変化もありませんでした。今日私たちが焦点を当てるのは、バスケットボールではありません。”

“ミルウォーキーとウィスコンシン州を代表して私たちがコート上でプレーするとき、私たちは高いレベルでプレーし、最大限の努力を尽くし、お互いに対して責任を負うことが期待されています。私たちが追求するのと同じレベルの基準を、立法者と法執行機関に同じことを求めます。”

“私たちは、ジェイコブ・ブレイク氏のために正義を求め、警察官に説明責任を果たすよう要求します。この事件が起こるために、警察組織の責任、彼らによる暴力の是正、刑法改革の問題に対処するための有効な手段を講じてこなかったウィスコンシン州の議会に、迅速な対応を要求します。私たちは、全市民が自分自身を教育することを促し、平和的で責任ある行動を取り、11月3日に投票することを忘れないように奨励します。”


 Twitterでも、選手たちから様々な声が上がった。


 “くそくらえ! 我々は変化を求める。もう飽き飽きだ。” 

                 —レブロン・ジェームズ


 “これはバスケットボール以上の問題!

 この問題の意味を理解できない人は、その人自身に問題がある。”

                        —デマー・デローザン


 “抗議運動に行きたい” 

  —ジェイレン・ブラウン


 “我々は正義を求める! バックスに敬意を表する” 

              —ドノバン・ミッチェル


“我々には、世界で最も強固で、一致団結したリーグがある!” 

                       —ケビン・ラブ


 NBAでは、選手たちを中心とした、今後のプレイオフ継続の是非に関する議論が進められいる。その中でも、レイカーズとクリパーズは、早々に「中止」に票を投じ、レブロンはオーナー陣にこの問題に対してさらなる関与と行動を求め、会議室を後にしたという。ただ一方で、この2チーム以外は「継続」に投票した。


 正直なところ、今回のボイコットをきっかけとして、プレイオフは中止となるのではないかと思っている。なぜなら、何百年も前から続いていながら、本格的な解決の糸口をつかめなかったこの人種差別の問題に、全米が、そして全世界がやっと真剣に向き合う機運が高まっているからだ。今を逃したら、次にまた変化を求めるときが何百年後になるかもしれない。強い意志を持って、歴史に終止符を打とうと立ち上がっている選手が多いだろう。

 何者でもない私だが、私は選手たちの勇気ある行動を尊敬し、支持します。

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