JJ・ㇾディックの「不惑引退」の野望

 36歳となりキャリア晩年を迎えつつあるニューオーリンズ・ペリカンズのJJ・レディックだが、彼のコート上のパフォーマンスはまだまだ第一線級で、今季も平均15.6点を奪い、スリーポイントも45.3%という高確率で沈めるさすがのスナイパーぶりだった。




 そんな健在ぶりを証明したレディックだが、残されたキャリアは決して長くない。そんな自身のキャリアの今後について、レディックは最近メディアのインタビューに対してこのように語っている。


 “私は今年、あることに気づいた。自分ができるだけ長くプレイしたいと思っていることに気づいたんだ。私の目標は、あと4年プレイすることだ。あと4年プレイすることができたら、その時は39歳になっていて、その年のオフシーズンには40歳になっている(※)はずなんだ。あと4年プレイした後で、私は現役を退こうと考えているよ。これが私の目標だ。それまで体を何とか持ち堪えさせないとね。まあ、楽しみにしていてくれよ。”


※:レディックの誕生日は6月24日。今季のように変則的なシーズンでない限り、オフシーズンの序盤に誕生日を迎えることになる。


  


 NBAで40歳までプレイするということは、キャリアの平均寿命が約27歳と言われるNBAにおいて、かなり息が長い部類に入る。ほとんどの選手は、40歳という年齢までNBAという世界最高峰のリーグで高いクオリティーのプレイを続けることは叶わず、もっと早期にリタイアすることになるのが一般的。しかし、決して運動能力に頼ることのない抜群のシューティングスキルを持つレディックであれば、確かに40歳までプレイしながら、ちゃんとチームにも十分貢献できる可能性は大いにありそうだ。惜しくも今季で記録は途絶えてしまったものの、NBA入りから13年連続プレイオフに出場した経験という財産も、他者には見られない圧倒的な優位性だ。

 4年後の引退の青写真を描いているレディックが、残されている限られたキャリアの中で今後目指していくべきシューター像とは、一体どういった役割であり存在なのか。その一つの例として、レディックの目標と同じく40歳になる直前までNBAでプレイした名シューター、レイ・アレンが挙げられるのではないだろうか。




 レイ・アレンはキャリア終盤、優勝を求め、セルティックスから宿敵・ヒートに移籍。ベンチ起用ながら爆発力のあるシューターとして、マイク・ミラーやシェーン・バティエーらとともに長距離砲でレブロン・ウェイド・ボッシュのBIG3を援護した。

 そして、2013年にサンアントニオ・スパーズと対戦したファイナルの第6戦、3点ビハインドの状態から残り5.2秒、起死回生の同点スリーポイントを沈め、延長に持ち込み、勢いそのままヒートが試合を制し、優勝まで走り切った過去がある。レイ・アレンの代名詞とも呼べる、今後も語り継がれるであろうキャリアのハイライトだった。レディックには、このレイ・アレンのような活躍ができるのではないだろうか。


  

 確かにレディックはもう、先発としてチームを牽引する役割を担うことはないかもしれない。しかし、重要な局面においてコート上で結果を残すことのできる貴重なベテランとして、また、若手の成長を導くメンターとして、チームに貢献することは間違いなくできるだろう。

 レディックが持つスキルと経験を生かして、まだ辿り着いたことのない優勝という究極の目標に向け、移籍の可能性も探っていくことになるだろう。実は今季途中にも、レイカーズとのトレードの噂が立ったことはあった。KCP+クイン・クック+ドラフト指名権との交換、といった内容だったが、結局実現はしなかった。レディックが優勝を目指して新天地を求めるのであれば、来季それがレイカーズであっても何ら違和感はない。むしろ、お互いにとってWin-Winの関係になる。リーグ随一の攻撃力を持つレイカーズだが、スリーポイントの成功率の低さ(レギュラーシーズンでは35.8%でリーグ21/30位、プレイオフでも35.5%の12/16位)は弱点の一つ。それを完全に補完する存在、それがレディックだろう。




 来季、レディックは現行の2年2,650万ドルの契約の最終年を迎える。おそらく、現行の契約が終わった後に結ぶ契約が、彼のキャリアにおける最後の契約になるかもしれない。キャリアの最終章に入っていくレデイックが、目論見通り40歳の「不惑」に引退する「終の住処」は、果たしてどのチームになるのか。今後のレディックの動向から目が離せない。


参考:「JJ REDICK: ‘MY GOAL IS TO PLAY FOUR MORE YEARS’」


 
 

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