NBAがもくろむ来季の理想の構想案とは?

  先日、NBAは正式に、来季がクリスマス以前に開幕しないことをオーナー陣に通達していた。10月中旬が今季終了の目安であることを考慮すると、Final出場チームにとってはオフが最短で2カ月ほどとなってしまいかなり現実的ではないので、その合理性には十分納得できる。

 それでは、現在リーグは来季の体制について具体的にどのような構想を練っているのだろうか。コミッショナーのAdam Silverの発言などを基に確認してみたい。


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■開催の形式:バブルを継続するか否か

 オーナーたちはバブルでの開催を望んでいない。理由はもちろん、無観客での開催は経済的に難しさを抱えているからだ。今季のシーズン再開に関して、バブルは確かに機能したが、イコール来季にも同じフォーマットを取り入れる、ということにはならない。オーナーたちの希望は、通常通り各都市で開催されるフォーマットだが、移動は減少させていくことになりそうだ。リーグとしては、全体の収益の40%をファンの観客動員が占める、という形に持っていくことが理想だ。



■開催の時期:いつ開幕するのか

 「来季がクリスマス以前に開幕しない」ことは決定したが、あくまでそれは最短の目安の話で、オーナーの中には2月やそれ以後の開催を願っているオーナーがいる。理由としては、上述した観客動員による収益を確保するためだ。

 遅めの開幕には、もう一つ大きな悩みの種がある。「東京五輪」の存在だ。通常のシーズンであれば開幕からFinal終了まで約9カ月の期間を要するわけだが、仮に、2月に開幕したとすれば、7月・8月に開幕されるであろう東京五輪と間違いなく日程が重なることになる。NBA選手の多くが、国際舞台での活躍を重要視しており、NBAも完全に無視はできない。異例ではあるが、NBAがNHLのように東京五輪のためにシーズンを中断するという形式を取ることを選択できるかどうかが鍵になりそうで、開幕時期の早い遅いはそこまで大きな問題ではなくなる。ただ、東京五輪を間に挟んでのシーズン継続の場合、もちろんその期間の分だけシーズンは長くなる。仮に1カ月半伸びるとしたら、2月開幕であれば12月中旬がシーズン終了となる。いずれにしても、今季同様イレギュラーなスケジュール感でのシーズンとなることは揺るがないだろう。



■開催する試合数:現行の82試合を維持できるのか

 オーナーたちは82試合の実施を望んでいる。理由はこちらも同様、経済的な課題に紐づいている。特に、新型コロナウイルス感染症拡大により短縮を余儀なくされた今季分の補填としての意味合いも強い。もちろん、ファンを起点に考えると、入場者数に制限することになるであろうことを前提に考えれば、1試合でも多く開催することは1人でも多くのファンが直接試合を観戦できることにつながる。

 また、各チームのGMはバブルでの選手たちのプレイの質の向上に注目しており、移動時間の短縮がそれに関係しているのではないかと考えている。これまでも、移動を極力減らし、連続して数回ホームでの試合を行えるようにする、というアイデアが議論されてきた。今回のバブルでの成果で、この議論が現実のものとなり、ニューノーマルになってくるかもしれない。



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 改めてになるが、上述の内容はすべて未確定であり、これから議論が本格化してくることだろう。Adam Silverは忍耐強く、情報収集に奔走しており、重要な決断を下していかなければならず、そのプレッシャーと責任感は計り知れないだろう。それでも、バブルという画期的な開催方法は圧倒的な成功を収めており、彼の手腕には心の底から信頼と期待をしている。これからの動向にも引き続き注目していきたい。



参考:NBA’s reported goal next season: 82 games, in market, with fewer fans, reduced travel

NBA's reported goal next season: 82 games, in market, with fewer fans, reduced travel

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