NBAファイナル4で最もお金の使い方が上手なのは? サラリーキャップ格付けチェック 〜Vol.2 デンバー・ナゲッツ〜

 前回から4回にわたって、各ファイナルのファイナル出場チーム、計4チームのサラリーキャップの振り分け方を分析しながら行っている、格付けチェック。第2回の今回は、NBA史上初となる、プレイオフで複数回1-3からの逆転でシリーズ突破を果たすミラクルを見せた、デンバー・ナゲッツを取り上げたい。



■ウエスタンカンファレンス No.2:デンバー・ナゲッツ(第3シード)


 1. Paul Millsap:$30,350,000(23.8%)
 2. Nikola Jokic:$27,504,630(21.5%)
 3. Gary Harris:$17,839,286(14.0%)
 4. Mason Plumlee:$14,041,096(11.0%)
 5. Will Barton:$12,776,786(10.0%)
 6. Jerami Grant:$9,346,153(7.3%)
 7. Jamal Murray:$4,444,746(3.5%)
 8. Michael Porter Jr.:$3,389,400(2.7%)
 9. Torrey Craig:$2,000,000(1.6%)
 10. Noah Vonleh:$2,000,000(1.6%)
 11. Monte Morris:$1,588,231(1.2%)
 12. Keita Bates-Diop:$1,416,852(1.1%)
 13. Vlatko Cancar:$898,310(0.7%)
 14. P.J. Dozier:$183,115(0.1%)

 Other
  Gelald Green:$1,620,564(1.25%)

 Total:$129,429,424
 Luxury Tax:$3,197,576

■一番の稼ぎ頭はまさかの…




 ナゲッツのサラリートップ、ヨキッチやマレーだと思われていた方も少なくないのでは。実際には、意外にもミルサップ。約3,000万ドルを稼ぎ、チーム全体の実に約1/4は彼のサラリーだ。確かに、ジャズやホークスで長く主力として活躍し、特にホークス時代には、イースタンカンファレンス1位通過、そしてカンファレンスファイナル進出にエースとしてチームを導いた経験があるのは大きい。ただ、チームではヨキッチ、マレーに次ぐ3番手という位置づけと言わざるを得ない存在で、このプレイオフでも平均8.1点、4.2リバウンドはあまりにも寂しすぎる。今季で3年契約の最終年を迎えるため、放出は免れないかもしれない。

 ちなみに、ヨキッチがNo.2であることは、実力的にもちろん妥当で大いに納得できるが、マレーがチーム7位の約450万ドル(全体に対する割合としてもたった3.5%)と、かなりの破格であるのは一体なぜか。マレーは既に、5年1億7,000万ドルの超大型契約(マックス契約)を結んでいるのだが、契約の開始が来季からになるため、まだルーキー契約のままでおり、こんなにも安い。来季からは正式に、ヨキッチ&マレーのコンビが名実ともにダブルエースとなるだろう。

■3位〜5位も費用対効果が悪い




 3位のハリス、4位のプラムリー、5位のバートンも、ミルサップと同様「高給取り」と揶揄されても仕方ない低調ぶりかもしれない。ハリスは先発としてマレーと双璧をなすシューターであるが、プレイオフではまだポテンシャルを発揮し切れていない。プラムリーも、ヨキッチの控えセンターとして重要な役割を持ってはいるものの、多彩なヨキッチの前では、ゴール下でダンクに持ち込むことしかできない彼は、どうしても霞んで見えてしまう。バートンに至っては、膝の状態が思わしくなく、欠場が続いており、完全な給料泥棒状態。彼らがもう少し戦力として計算できれば、ナゲッツはもっと脅威になれるだろうに、と感じざるを得ない。

■6位〜9位がチームの命運を握る存在




 7位マレーは言わずもがなだが、6位のグラント、8位のマイケル・ポーターJr.(MPJ)、9位のクレッグは、エースの脇を支える重要な選手たちだ。グラントはその高い運動能力と要所で沈めるスリーポイントで先発として奮起しており、クレッグもマルチな活躍でチームをベンチから出てきて下支えする。MPJは、優勝候補の筆頭に挙げられていたクリッパーズを相手に、1-3と追い詰められて迎えた第5戦でチームを救う値千金のスリーポイントとブロックを決め、ルーキーながら大器の片鱗であることを証明した。彼らは、グラントが約940万ドル、MPJが340万ドル、クレッグが200万ドルとチームの財布に非常に優しい。強いて言うなら、グラントが少々お高めか。

■総評


 昨季・今季と、プレイオフで2つのシリーズでゲーム7を経験するという離れ技を見せ、リーグ屈指の勝負強さと粘り強さを見せているナゲッツ。サラリーの配分については少々疑問符がつくところもあるのは事実だが、ラグジュアリー・タックスも少なく、ある程度堅実な面も見えている。レイカーズ相手にシリーズを勝ち抜くのは至難の業だが、これまで巻き起こした大番狂わせをカンファレンスファイナルでも、と待ち望んでいるファンも多いと思う。実現するだけのポテンシャルは間違いなくあるので、ぜひ「台風の目」として、このシリーズでもリーグを良い意味でかき乱してほしい。


参考:「Denver Nuggets 2019-20 Salary Cap(Spotrac)


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