ドワイト・ハワードとダニー・グリーンが吐露するバブルの闇と希望の光

  7月にバブル入りしてから、実に約3カ月もの長期間、この外界から隔離された特殊な環境に身を置き、日々熱戦を繰り広げているロサンゼルス・レイカーズの選手たち。そのレイカーズで中心となっているドワイト・ハワードとダニー・グリーンは、バブルで経験している精神的な落ち込みについて、メディアに向けて胸中を告白している。

 


 ハワードは、7月のバブル入り以降、選手の精神衛生上の問題についてメディアから尋ねられればオープンに答えてきた。「ディズニーにいるんだろ」と、人々が華々しさばかりを想像していることに対して、実態はその反対であることを語っている。


 “家族や子どもたちに会うことができないバブルの環境に身を置かなければならなくなったことで、私自身、精神的な落ち込身を感じる時期があった。本当に難しい問題なんだ。私はその中で、多くの本を読んだり、外に出て歩いたり、私たちと同じようにバブルに滞在してNBAで働く多くの人々と話をしたりして、精神的な闇から抜け出す方法を見つけようとしていたんだ。自分が経験していることを彼らと共有し合い、彼らが経験していることにも耳を傾け、お互いの中に希望の光を見つけようとしたんだ。”


 そんなハワードは現在、バブル内に家族や友人を招くことができるようになってから、最近母親を亡くした息子のデイビッド君と共に過ごすようになった。ハワードは彼から力を受けながら、バブルでの生活に喜びを見いだすことができるようになったという。先発起用となったファイナルでも、インサイドで力強さを見せつけている。




 先発SGとして、その豊富なプレイオフ経験を生かして攻守に活躍するダニー・グリーンも、バブルで過ごすことの大変な難しさについて、次のように話している。


 “2日のサイクルが永遠に続いていくんだ。試合日か、練習日か。そのどちらかしかないんだ。同じキャンパスに泊まり、同じレストランで食事をし、同じジムに通い、同じ部屋に泊まり、同じホテルの道を通る。わかるだろ? しかし、私たちはやっとゴールラインに近づいてきたんだ。まだやるべき仕事が残っているが、トンネルの先に光が見えてきた。終わりが近いことが、やっとわかってきたんだ。

 すべてを終えるまでに、残された時間はわずかしかないことはわかっている。だからこそ、正しく仕事を終わらせるために、最後まで努力を続けていきたいんだ。決して、(アメフトの)エンドゾーンを見ているわけではない。まず次のヤード、次のファーストダウンを求めているんだ。いきなりエンドゾーンに行くのではなく、それらを一つずつ着実に終わらせていくんだ。




 ハワードやグリーンに限らず、バブルで精神的な落ち込み、中にはうつのような症状を抱えていた選手もいた。ロサンゼルス・クリッパーズのポール・ジョージもその一人で、バブルの外界から隔離された環境下で、彼の言葉で言えば「ダークプレイス」に陥っていた時期があった。


 “まさに「小事が大事」だった。正直、私は精神的な健康の重要性を過小評価していた。不安な気持ちがいつも隣り合わせにあって、うつっ気もあったと思う。まさに、閉じ込められているような感覚で、自分自身がそこにいなかった。(ダラス・マーベリックスとの)ゲーム2から4までの間、私はそこにいなかった。自分自身がそこにいないと、自分で感じていたんだ。そんな私に、言葉をかけてくれた人たちに感謝したい。彼らのおかげで、私は力を取り戻すことができた。感謝してもし切れないよ。



 あらゆる状況、環境がこれまでとは全く異なり、精神的に極限の状態にありながらも、頂点を目指して日々奮闘している選手たち。新型コロナウイルス感染症という未曾有の厄災の状況下でも、彼らのおかげで私たちファンが世界最高峰のバスケットボールを楽しむことができていることに、もっと感謝しなければならないと改めて感じる。

 いよいよファイナルの幕が開け、同時に今季の終焉も段々と近づいてきているNBA。私たちファンがファイナルを最後まで楽しみ尽くすことが、大きな犠牲を払ってプレイし続ける選手たちへの最大の報いになるのかもしれない。


参考:「Lakers’ Dwight Howard opens up about feeling depressed in NBA bubble」

Lakers' Dwight Howard opens up about feeling depressed in NBA bubble


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