レブロン・ジェームスとブロニー・ジェームスがNBAで親子共演を実現するために必要なこと

  ロサンゼルス・レイカーズのスーパースターであるレブロン・ジェームスは、NBAの長いキャリアで伝説的な数々の偉業を成し遂げてきた。35歳にしてさらなる優勝への道を歩み続ける一方で、息子のブロニー・ジェームスとNBAのコートで共にプレイすることが最大の目標であることを明らかにしている。



 “それは自分にとってだけでなく、家族にとって、そして全ての人にとって、信じられない瞬間になると思う。長男(ブロニー)と一緒にNBAのコートに立つことができたら、それは最高だよ。”


 リーグは長年にわたって多くの才能ある選手を受け入れてきたが、NBAは歴史上、親子のデュオが実際に同じシーズンの中でプレイしたことはない。レブロン・ジェームスは、「この偉業を達成した1人目になりたい」というよりは、ただただチームメイトとして、ブロニーとフロアを共有したいと考えているのだ。しかし、これを実現するためには、数々の条件をクリアする必要があるのも事実だ。

 このNBAでの親子共演は、確かに非常に可能性が低いことではあるが、過去にプロスポーツで実現したことがある。ケン・グリフィー・シニアは、1990年のMLBシーズンに息子のケン・グリフィー・ジュニアと、シアトル・マリナーズで共にプレイした。1987年、ケン・グリフィー・ジュニアは18歳の時に高卒でドラフト1巡目1位の鳴り物入りでMLB入り。そして1990年、彼が21歳の時、シアトル・マリナーズに父が移籍してきたことで、正式に親子共演が実現。その時、ケン・グリフィー・シニアは40歳だった。



 ジェームスはブロニーが生まれた時には弱冠19歳で、息子がまだオムツをしていた頃にNBAで試合に出場していた。確かにファンとしては、ケン・グリフィー親子と同じように、ジェームス親子にもこの夢を叶えてほしいと思うだろう。しかし、レブロンとブロニーがNBAで史上初となる親子でタッグを組むためには、いくつかの越えなければならないハードルがある。


■ブロニーがNBAに入るレベルに到達しなければならない


 まず第一に、ブロニー自身がNBAという世界最高峰のバスケットボールリーグへの切符を獲得しなければならない。16歳の天才はすでに才能の片鱗を見せ始めているが、NBA入りが確約されているわけではない。

 スキルに長け、身長約188cm(2020年7月時点)のガードは、すでにシエラキャニオンで実績を残し始めており、レブロンが彼の年齢で持っていた以上の洗練されたスキルセットを持っているように見える。レブロンのプレイの特徴は、主にスピード、パワー、そして驚くべき運動能力に頼ったものだったが、ブロニーの場合、より良いボールハンドリング、より巧みなゲームコントロールを見せており、シューティングスキルも日に日に向上しているところだ。確かなことは、ブロニーは父・レブロンのように高く飛ぶこともでき、すでに優れたコートビジョンとゲーム感覚を垣間見せているということだ。

 現段階では、ブロニーがリーグ入りするのは「必然」と言われており、あとはドラフトの日に何位で指名を受けるかだけの問題であるようだ。ESPNはブロニーを、2023年ドラフトの指名順位を「24番目」とランク付けしている(2020年7月時点)。




■レブロンがブロニーのNBA入りまでリーグに残り続けなければならない


 レブロンはキャリアを通して一貫した偉大さを見せつけているが、レブロンももうすでに35歳となり、リーグで早くも17年目を迎えている。彼は確かに自然を超越していると思わせる偉大なプレイヤーであり、まだすぐに減速するという兆候は示していない。

 レブロンはシーズン中もオフシーズン中も、多額の費用を掛けて身体を維持しているが、実際に息子とNBAの舞台で一緒にプレーするチャンスを得るために、「若さの泉の水」を飲み続ける必要があるだろう。

 もし、ブロニーが実際に2023年にNBA入りを果たすことができた場合、レブロンは39歳になっている。重大なケガさえなければ、「史上最高の選手」と呼ばれるマイケル・ジョーダンや、ダーク・ノウィツキーやヴィンス・カーターのように40歳を過ぎても息長くプレイした選手たちのように、レブロンが長くNBAで活躍を続けることができるのではないだろうか。

 ただ、ブロニーがNBA入りを果たしても、その時にレブロンが今と同じ超人的な能力を持ち続けているとは期待してはいけないのかもしれない




■どのチームでプレイすることになるのだろうか?


 レブロンは、2022年までロサンゼルス・レイカーズとの契約があり、伝統のパープル&ゴールドのユニフォームを着ることになっている。この契約の後はおそらく、柔軟性を持つために、1年契約(それはロサンゼルスかもしれないし、または別のどこかに行くかもしれない)を選ぶ可能性がある

 レブロンの実績を考えれば、ブロニーが翌年プロになるのに合わせて自身がどこに行くかの完全な主導権を握っていると言っても過言ではないだろう。レブロンはこれまで、FAに入るたびに操り人形のマスターのようになってきた。ジェームス親子の場合、親子という特異性に乗っかったパッケージ契約になる可能性が高いという。レブロンのキャンプの行き先は、息子をドラフトしたチームと契約することで決まってくることになるかもしれない。万が一、ブロニーがドラフトされなかった場合、レブロンは自分の息子が契約することをチームに要求することもあるかもしれない。


■NBAは「ワン・アンド・ダン」ルールを廃止できるのか?


 2023年にレブロンとブロニーが一緒にプレイするという夢を阻む最大のハードルは、現行の「ワン・アンド・ダン」ルールだ。レブロンはすでにNCAAが腐敗しつつあると公言しており、息子には大学バスケをやらないことを望んでいると言われている。

 しかし、リーグが高卒の選手が直接NBAに入ることを禁止している方針を変更することができない場合、ブロニーはワン・アンド・ダンの影響を受けることを余儀なくされる。NBAのコミッショナーであるアダム・シルバーはすでにこのルールに反対の声を上げており、2022年頃に廃止されると考えているというが、果たして。




参考:「What has to happen for LeBron James and Bronny to play together」

What Has To Happen For LeBron James And Bronny To Play Together

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